2020-11-07

面白い人生を創る

仕事柄、高校生から進路相談を持ちかけられることが多いのですが、そのたびに、10代で明確な進路を定めることの難しさを痛感します。僕自身も彼らと同じように悩み、時には遠回りしながら自分の人生を創り上げてきました。今回は、その軌跡を振り返りながら、「面白い人生を創る」というテーマで話を進めていきたいと思います。

僕は小学生のときから教師という存在をあまり信用しないという、かなりひねくれた人間でした。それだけでなく、まわりの学童たちが作り出す過剰な同調圧力にも違和感を抱いていました。大人たちから見れば、扱いにくい子どもだったように思います。基本的にそういうスタンスなので、勉学については大人を頼らず自分で責任を持って進めていました。

義務教育がもうすぐ終了というとき、進路選択の問題が浮上しましたが、これについては特に悩んだ記憶がありません。学ぶことは大好きだったので自然と成績は上位へ。「学びの世界を広げたい」という気持ちが湧いてきたため、松本深志高校に進学することに決めました(父が同校出身者ということもあり、僕にとっては身近な学校という認識でした)。

高校時代は中学とは比べものにならない高度な内容と予想以上に速い授業進度に戸惑いながらも、英語や数学を中心に面白さを感じながら学んでいました。先生方や学生たちは中学とは違って多種多様で強烈な個性があり、つい議論を挑みたくなるような一筋縄ではいかない人たちばかり。きっとこれが松本深志高校が長い年月をかけて継承してきたユニークな校風なのではないかと思います。

このように、高校生活は刺激溢れるものでしたが、唯一進路選択だけはもどかしさがありました。入学した時点で大学進学以外の選択肢が考えられない空気があり、それに違和感を抱いたことも。今思うと、これは単なる思い込みで、その気になれば別の道を選ぶこともできました(広い視野で物事を見ようとしなかった自分の責任です)。その後、紆余曲折を経ながらも、生涯をかけて取り組みたいことが見つかったので、人生どうなるか分からないというのが正直なところです。

ここで、どんなプロセスを経てきたか、具体的に述べてみます。

高校1年のときは、ロボットに関心があったので東京工業大学への進学を考えていました(当時ロボットコンテストで異彩を放っていたのが、この大学だったのです)。

高校2年の終わり頃、物理と化学への興味が薄れてしまったため、学問内容の再検討を余儀なくされることに。そんなとき、部活動で「後輩を成長させることがチームビルディングのカギ」ということに面白さを感じていたので、そこに数学への思いが結びつき、新たに「数学教育」という道が目の前に現れました。

最終的に数学教育が学べる大学を受験し合格。しかし、ここで迷いが生じます。4年間数学に没頭するのではなく、自分はどちらかというと教育そのもの、特に教育心理学や臨床心理学について学びたいという気持ちに気づいてしまいました。これを受けて、1年後再受験し、東北大学教育学部に進学することが決まりました。

大学入学後もいろいろありました。臨床心理学については大学の前半で諸事情により断念し、教育心理学や認知心理学に傾倒するようになります。また、インターネットの商用利用が活発化したという時勢を踏まえ、デジタルメディアデザインへの関心も高まりました。「この技術が発達し普及すれば、世界中のより多くの人に教育や相談の機会を提供することができる」と思い、ものすごくわくわくしたことを覚えています。

この思いがモチベーションとなり、大学の後半は「教育とデジタルテクノロジー」というテーマで研究を進めました(この活動は現在も継続中です)。音楽好きが高じて、音楽祭プロデュースにも取り組むようになりましたが、ここにも「次世代の育成」「デジタルメディアを活用したPR戦略やコミュニケーション」といった形で大学時代の研究が活かされています。

この経験を踏まえて、僕はあることを実現したいと思うようになりました。それは「子どもたちや若者の才能が開花することで、世界はもっと面白くなる(日本面白すぎる!と言われる)」というビジョンです。世界では連日悲しいことが起きていますが、このような状況でも、多くの子どもたちや若者の爆発的パワーを解放することができれば、沢山の笑顔が生まれ明るい未来を創ることができると信じています。

もちろん、彼らに未来を丸投げするわけではありません。むしろ協働して面白いことを創りたい。これが僕の素直な思いです(これを書いている時点で、ものすごくわくわくしています)。ぜひ僕にやりたいことや悩みを話して下さい。少しでも良い方向に行くように、一緒に考えアクションにつなげていきます。発信と行動。これが面白い人生を創る秘訣です。